homulaインタビュー/homula CEO福地峻氏「リスクを取る人が報われる世界を実現したい」

homulaインタビュー/homula CEO福地峻氏「リスクを取る人が報われる世界を実現したい」


1回目は、homula CEO福地峻氏にhomulaのサービスの説明から会社設立の経緯、今後の展望についてお話をうかがいます。

 

ーはじめに、homulaのサービスについてご説明いただけますでしょうか。

はい。homulaでは、ブランドと小売店の卸売機能をウェブ上で完結させるサービスを提供しています。事業者向けのECサイトという風にイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

サービスの特徴は、小売店のファイナンス面でのサポートと、初回のお取引に限り、在庫リスクをhomulaが引き受けることです。ブランドにとっては、homulaのシステムによって小売店の行動範囲を広げることで、売上の拡大が見込めるというアドバンテージがあります。

 

ー小売店の在庫リスクをhomulaが引き受けることで、新規ブランドを仕入れる際のハードルが低くなるということですね。ブランドにとってもポジティブな効果が期待できるサービスの仕組みは、小売業界全体の活性化をはかれると思いました。では、ファイナンス面でのサポートという点に関して、詳しく教えていただけますか。

homulaでは、商品代金のお支払い方法を後払いにしています。小売店には、注文した商品が発送された時点から60日後に、クレジットカード決済にて商品代金が請求されます。実質的には、支払いを3ヶ月程先延ばしできるということになります。在庫リスクを引き受け、資金を用意せずに商品を仕入れることができるhomulaのシステムによって、小売店が挑戦できるフィールドを作りたいと考えました。

 

 ー小売店は、店舗を運営する上で、家賃、人件費などの固定費が発生しますよね。仕入れにおいてのリスクをhomulaが背負うことで、自由度の高い選択ができるのではないでしょうか。それでは、ブランドにとってのメリットについても教えてください。

2020年から続く新型コロナウイルスの影響もあって、作ったものが売れないという苦悩を抱えているブランドも多いと思います。アクセスが難しい全国の小売店とつながることができるhomulaのサービスをご利用いただくことは、現況を打開するための一助になると考えています。

ブランドは、一人で何役もこなしている方がほとんどだと思います。営業とマーケティング、homulaが両分野のサポートをすることで、ブランドには商品開発に注力していただく環境を整えたいと考えています。

 

ー独立系の事業者と取り巻く環境が似ているスタートアップ企業の代表である福地さんの立場だからこそ、気付けたことが多くあったのではないでしょうか。これからのhomulaの成長が楽しみです。続いて、会社設立の経緯を教えていただけますか。

私は、前職で金融系の会社でホールセール業務に従事していました。金融業界には、商品を仕入れる際にファイナンス面でのサポートや在庫リスクを引き受けるという仕組みがあります。漠然と、この仕組みは小売業界にもニーズがあるだろうと思っていました。そこで、起業の後に、小売店とブランド300社以上にヒアリングをしてみたところ、homulaのサービスに価値を感じてもらえるだろうと確信を持ちました。

小売店やブランド、独立系の事業者のビジネスモデルは、失敗することが許されない状況です。ある程度の失敗が許容されて、学びの機会と改善の時機を得られる仕組みをhomulaが作ることで、リスクを取る人が報われる世界を実現したいと考えました。

 

ー「リスクを取る人が報われる世界を実現したい」という言葉は、とても心強く感じます。社名でもあるhomulaというのは、炎(ほむら)に由来しているとお聞きしたことがありますが、そこに込められた想いをお聞かせください。

私は、ナシーム・ニコラス・タレブ著の「反脆弱性」という本が好きなのですが、内容としてはストレスやリスク、変化や圧力を糧に成長していくことで、世の中が良くなっていくというようなことをテーマにした一冊です。本の中で、ロウソクの火は風が吹けばすぐに消えてしまうけれど、炎の火は風が吹くと強く燃え上がるという例え話が出てきます。

独立系の事業者には様々なリスクがつきものですが、全体を束ねて負荷を分配することでリスクに対して強くなることができます。homulaは、事業者向けのECサイトという領域を超えて、小売店やブランドにとってのホームでありたいと考えています。

 

ー最後に、今後の展望についてお聞かせください。

私たちは、すべての小売店とブランドにhomuaのサービスを利用していただきたいと考えています。業界特有の感覚的なところをデータ化して、ブランドから小売店、小売店からお客様までの商品の動きを明確にすることで、小売店とブランドのビジネスとしての発展を手助けしていきたいと考えています。

世の中の前進は、挑戦している人たちによってもたらされています。独立系の事業者が挑戦しやすい環境を作って、業界全体がより良く変化していく未来を目指しています。

 

 

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福地峻 homula代表取締役

筑波大学大学院システム情報工学研究科・ノースカロライナ州立大学数学科にて機械学習の理論と応用研究に従事。大学院卒業後はバークレイズ証券にてホールセール業務に従事。証券会社向けに在庫リスクゼロの卸売サービスを立ち上げmtn-iからInvestor Solutionsアワード等複数のアワードを受賞。2019年10月にSUSQ創業。

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